建築士コラム

建築とデザイン

角南 公淑

映画と建築

映画の中の建築はドラマチックな物語の舞台、人間模様やストーリー展開などで映画音楽と同じくらい重要な要素を為していると思います。ストーリーを追うだけの映画ではなく、少し視点を変えて建築や空間に注視して映画を楽しんで見るのも面白いのではないでしょうか。

コロナ禍でおうち時間を過ごすのが長くなった現在、そんな映画の楽しみ方をご紹介できればと思います。

父親の影響もあり、私は幼少期から映画ばかり見ていました。中学生の時、スタンリーキューブリック監督の「時計仕掛けのオレンジ」を見て以来、スタンリーキューブリック監督の映画にのめり込んで行く事になりました。

大学で建築を学びはじめた頃、建築や空間のデザインというものに意識がいくようになります。また学術として学ぶ意匠論などでレポートを書いたりするなか、中学生の頃見た「時計仕掛けのオレンジ」が頭をよぎりました。劇中、主人公が訪れるコロヴァ・ミルク・バーの空間や家具が中学生の頃からずっとなぜか強く印象に残っていたんだと改めて気づく事になりました。こんな独創的な空間や家具をつくってみたいと思っていたのかもしれません。

つまり何かを感じる空間というべきものか印象を残す空間というべきものかは難しいですが、「空間」という言葉に意識づく初動だったように思えます。

また、この映画の世界観に似合うロンドン市内の様々な建築物が出てくるのですが、中でも重量なシーンで使用されたのが、1966年に竣工したノーマンフォスターら4名で構成されたチーム4が設計したスカイブレイク・ハウスです。
(引用:Hidden Architecture/Skybreak House)
また、その他にも有名かもしれませんが、ブレードランナーで、ハリソンフォード演じる捜査官が暮らす自宅として使われたのが、1942年竣工のフランク・ロイド・ライトが手掛けたエニス・ブラウン邸です。ブレードランナーの世界観は飛び級に面白い近未来を表現していました。

映画と建築は密接な繋がりがあると思っています。登場人物達の人間模様やドラマチックな物語を観るものと共有するための舞台として、その作品の極めて重要な要素であると思います。

このコロナ渦の中、自宅で映画を楽しむ時間も増えたのではないでしょうか?その映画作品の中で表現されている、建築や空間に注目してみるとまた印象が変わって面白いかもしれません。

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