建築士コラム

プロジェクトの足跡

水口 真希

建築士が担う役割について

はじめに
建築士にどのようなイメージをお持ちでしょうか。おしゃれ、カッコイイ、、、そのような華やかなイメージをお持ちの方が多いように思います。

確かにおしゃれな方は多いように思います。それは、お客様に見られているという認識を持っているからではないでしょうか。お客様が建物を依頼されるとき、不格好な装いの建築士に頼むより格好良い装いの建築士に頼みたいと思うでしょう。それを意識しているからだと思っています。

建築士は、デザイナー的な側面も求められていますが、もっとも求められているのは、法律や条例などの法規制を把握する法律的な側面のように思います。それは建築士しか出来ない仕事だからです。
沢山の法律がありますが、私達が最も良く見るのは建築基準法です。
建築基準法は、昭和25年に制定されて以降、毎年のように更新されています。また、建築基準法には、各特定行政庁により条例や取扱要綱などが付加されていることもあります。

更に、世の中の状況により耐震改修や省エネルギーと言った新しい法律も出来てきており、一つの建物を建てる時にかかる法律等の規制は、多い時には簡単に10を超えます。年々、複雑になる傾向が伺えますが、私達は常に最新情報を得るようにしています。

設計段階で、最も優先されるのは、建て主の要望が満たされていることです。その要望を踏まえた計画が決まれば、法規制をチェックしていきます。法律は往々に分かりにくい文面になっていることも多く、複数の解釈が考えられる事があります。そういった時には、図で示したり、方針を決定するための判断する材料を準備して確認を行います。その後、着工までの手続きを進めます。

事例
省エネルギーに関する届出(省エネ法)の運用が始まって間もない時のことです。現場が始まってからもVE.CD(減額案)の打合せが続いており、設計図書はA種断熱材を指定していたのですが、B種の方が安価な為、施工会社からVE提案がありました。
過去の省エネルギー措置届出書より抜粋
断熱材には多くの種類や製品があります。その分類の一つにA種、B種があります。A種とB種の違いは、コストや施工性だけではなく、オゾン層破壊係数・温暖化係数といった環境配慮を示す数値の違いにあります。A種はノンフロンの為、最も環境配慮がされた断熱材と言えます。

省エネ法が施行されるまでは、安価で施工性が良いB種を使用することが多かったのですが、省エネ法の手引にはA種の使用を前提としていました。B種に関する記載がなく、使用してよいかわからない事態となりました。

市役所の建築指導課や国交省と交渉し、建築基準法やJIS、JASその他認定を確認し、認定書を市役所へ提出することでB種の採用となりました。ちなみに住宅ではA種断熱材しか使えません。

こういった法律的な所は、我々、建築士が担います。
事業主様からも、「法的に問題ないなら変更してもいいです。」とか、現場監督からは、「我々は、法律的なところは分からないから、どうしたらいいかだけ教えてください。」と言われます。
おわりに
法文だけでは様々な解釈ができます。NOとは言えない、と言う曖昧な回答の場合もあります。

そのような場面で、私達建築士が法的根拠を作っていき、事業主様に方針決定して頂けるようにします。その為に、私たちはアンテナを張って情報収集し、対応できるように努力を続けています。

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