建築士コラム

建築とデザイン

松永 康宏

直感力を磨く

私たち設計者は様々なところで直感力を発揮する必要があります。特にお客様との打ち合わせで、ご要望を受けた際にリアルタイムで新しいアイデアを瞬発的に提案する状況が多くあります。

お客様の要望、建築基準法等の規制、周辺環境、コストバランスなど、様々な要因を統合し昇華させたデザインには直感力と提案力が必要になります。

リアルタイムにデザインを生み出し、お客様の反応を目の前で感じることが出来るのはリアルな打ち合わせでしかありません。
打ち合わせは、お客様との会話から様々な展開に移るため、スピード感が重視されます。

そのときに私が使うのは紙とペンです。直感的に思い描いたものをリアルタイムに、お客様へ説明するために一番良い道具ではないかと思います。

提案するためにはパースのスケッチやダイアグラムなどの技術や知識が必要となります。
提案力向上のために技術や知識は学べば習得できるのですが、直感力は直ぐには身につきません。そして、直感力は測定しにくく、基準がないのが厄介なところです。

直感力を磨くため、私は定期的に美術館に行き、様々はアート作品に触れるようにしています。新たなアイデアのアート作品に触れたときに「こんなことも考えられるのか」と心が躍ります。
最近、鑑賞した中で感銘を受けたのが前川強さんの個展です。

中でも麻布のみでつくられた作品はとても興味深いものでした。異なる色や質感の麻布を縫い合わせ、台形やひし形などシンプルな幾何学模様の作品です。

1つの素材に異質の素材をはめ込む象眼の技法です。さらにミシンでつまみ縫いして、斜めに走る幾つもの細かなヒダの線が引かれています。初めて見たとき、そのヒダの陰影が筆で描かれたものだと思いました。
新たなデザインや思想に触れたとき、自分自身の引き出しが増えたような感覚があります。

その引き出しに入れたデザインや知識は、自分のどこにあるのかわかりません。どこかに保管されているのですが、意図して引き出すことができない場合がほとんどです。

しかし、必要な事象に出会った瞬間、どこからともなくアイデアとして湧き出てきます。それがある意味、直感力ではないかと思います。

私たちは引き出しを増やし続け、お客様のご要望をデザインとして形にすることが、社会的使命であると考えています。

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