建築士コラム

プロジェクトの足跡

上野 隆一

デザイン&ストラクチャー Vol.3
「恵美須東一丁目PJ(通天閣)」

はじめに
間口が狭く奥行が長い通称「うなぎの寝床」といわれる敷地では計画が難しくなることが多くまた、構造計画、施工計画もプランと密接に関わることから、初期の計画段階から細かな検討を行う必要性があります。

一般的な建物の塔状比(建物の幅と高さの比)は4以下ですが、4~6、さらに6以上と高くなるにつれて建物の構造形式の選定や構造計算の難易度が高くなります。

今回、実現した塔状比約5.2のRC造建物を元に軌跡を振り返ろうと思います。
狭小敷地での計画
間口約7mの敷地に建つ9階建てのRC建物です。狭い間口で重要なのが、

①選定した基礎計画について施工重機が敷地に入り工事可能か
②杭が必要な場合は敷地までの搬入経路の確保
③隣地との土留め方法

の3点に注意が必要です。そのため、計画初期で敷地を実測し杭・土留めなど基礎工事可能かの検討を綿密に行いました。
次に平面計画と構造計画を密接に検討していきます。

限られたスペースで構造部材の大きさと空間確保のせめぎあいの末、最適解を導き計画します。さらに、構造計画では塔状建物であることから地震時の転倒や変形について細心の注意を払います。
施工
工事では資材の搬入搬出の順序が重要になってきます。物資搬入についても仮置き場を前に置き後ろを工事する、その後、仮置き場を後ろへ移動し、前を仕上げるといった順序良く作業を行う必要があります。また、隣家にも配慮し、物の落下や音についても注意が必要でした。
おわりに
本建物は詳細な設計検討と難しい施工条件の中、多くの人の尽力があって完成しました。関係した方々にはこの場を借りて深く感謝いたします。

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